【ローソンストア100】“価値ある100円”を提供するローソンストア100のものづくり
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当コラムは、グループ社員の皆様に“ローソングループで働く仲間の仕事への想いを知ってもらうことを目的に、ローソングループで働く8人の社員にスポットをあてた企画です。普段顔を合わせることはない、けれど同じグループの仲間たち。彼ら、彼女たちは、普段どのような仕事をどんな想いで取り組んでいるのでしょうか。
今回は、ローソンストア100の長川里香さんにお話を聞きました。学生時代のアルバイト経験から、コンビニ業界に興味をもったという長川さんは、2011年に入社後、2年間の現場経験を経て、現在はMD(企画開発)として活躍されています。
ローソンストア100は生鮮食品をはじめとした食料品を中心に、単身世帯からファミリー層まで幅広いお客様に毎日の食を提案する便利な小型店です。販売している商品の5~6割が「100円」であることが特長です。今年7月には新コンセプト「献立応援コンビニへ。」を発表。変革の裏側では、どのような商品開発が行われているのでしょうか。
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株式会社ローソンストア100 生鮮・デイリー部 MD / 米飯・デリカ・FF部 MD(商品開発)
長川里香(おさがわりか)
2011年株式会社ローソンストア100に入社。店舗社員、店長を経験後、2013年より本社商品本部へ。MD(マーチャンダイザー)として商品開発を担当している。
開発から販促物の準備まで、一貫して担当
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ー現在のお仕事内容を教えて下さい。
商品の開発から開発した商品の販促物やオペレーション方法の用意まで総合で担当しています。
現在扱っているのは、冷食、アイス、FF(ファーストフード。レジ横のホットスナック )で、以前はデザート、菓子(スナック 米菓、珍味)を担当していました。
ー開発は具体的にどのような流れで行うのでしょうか。
まずは作りたい商品の方向性や使いたい原材料、原価を企画としてまとめ、メーカーさんに相談し現実的な商品設計を作ってもらいます。そこから市場やコンセプトに合わせて、ひたすらブラッシュアップしていく。これが大きな流れです。
FFに関しては、商品開発がある程度進んだタイミングで、店舗での調理条件やオペレーションの検証・調理マニュアルの作成も行います。
安さと品質の良さを両立した「価値ある100円」とは
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ー開発をする上で、大切にしていることを教えて下さい。
ローソンストア100のプライベートブランド「VL(Value LINE)」は「100円」という価格設定で開発をしています。この揺らぐことのない販売価格に合わせて、原価や内容量、生産数などを調整していく必要があります。食品を扱う以上おいしいのは当たり前なので、+αの価値としてどれだけ満足感を持ってもらえるか、100円の価値を高められるかは常に考えています。
例えば、直径7センチのカップに入った小さなデザートを開発したときの話です。満足度を上げるために、三層構造にしてみたり上にクリームを絞ったりと試行錯誤し100円とは思えない贅沢感のある商品ができました。これは人気が出るぞといざ店頭に並べると、同じ売り場にある直径8.8cmのカップに入った飾り気のないデザートの方が売れるんです。100円の世界では、こだわりのディテールよりも大きさという価値のほうがやっぱりわかりやすいんですよね。商品開発していると、ついその単品のことだけを考え掘り下げて作ってしまいがちですが、店舗では単体ではなく他の商品と一緒に並ぶわけなので。それからは、商品開発の時点から売り場全体を俯瞰してみることは意識するようにしています。
ー「価値ある100円」は、サイズ感ということでしょうか。
そうとも言い切れません。もちろんわかりやすい指標でいくと大きさやボリュームはありますが、企画の面白さ、パッケージデザイン販促物など、工夫出来るところはいくらでもあると思います。
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逆に、冷凍食品はあえて少量を意識した商品も多いです。「適量小分け」といって、単身世帯使い切りの商品を用意しています。内容も「玉ねぎみじん切り」や「揚げなす」など料理の手間を省くラインナップを充実させています。冷凍食品は嗜好品ではないので、奇をてらうよりもニーズを重要視することが「価値ある100円」になるのです。実はこの「適量小分け」の冷凍食品にも新たな変化が生まれています....!
献立応援コンビニ、はじまる。
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ー7月より掲げている、ローソンストア100の新コンセプト「献立応援コンビニへ。」について教えてください。
昨年より家で過ごす時間が増え、毎日自宅で食事をとることが新しいスタンダードになりました。それにより、自炊することや献立を考えることに負担を感じている方は少なくありません。そこでローソンストア100では、毎日の献立に旬な提案をすることでお客様に寄り添う「献立応援コンビニへ。」を新しいストアコンセプトとして掲げることにしました。
具体的には、複数の商品を組み合わせた献立を売場で提案したり、商品に料理方法を記載したPOPをつけたり、レシピのアイデアを店内放送で流したり。様々な方法で献立のヒントになるご提案をしています。
ー商品開発側でも変化はありましたか?
私が担当している冷凍食品・アイスのカテゴリーでは、仕入れる商品を大きく変えています。
今まではオリジナル商品として、単身世帯の方が使い切りできる「小分け・100円商品」の開発に力を入れていましたが、今は新規の開発はひとまずストップし、NB(ナショナルブランド / 全国的に有名なメーカーのブランド)の採用に注力しています。
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ーそれはなぜでしょうか。
コロナ禍により、人々の食のスタイルが変わったことが大きいですね。小分けだけでなく、ファミリーサイズだったりスーパーでよく見る有名メーカーのあの商品が欲しいといった声を聞くようになり、ローソンストア100によりスーパーらしさが期待されていると感じています。
強みを活かし、お客様に寄り添うコンビニへ
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ー7月より「献立応援コンビニへ。」を掲げ、約2月が経ちました。
実際にやってみて、このコンセプトは、常連さんが多いローソンストア100だからこそ活きるんだなと実感しています。
ーローソンストア100だから、ですか。
はい。学生時代に他社のコンビニでアルバイトをしていたのですが、ローソンストア100に入社して一番驚いたのは、1日あたりの販売数と客数でした。生鮮食品を中心とするスーパーのようなコンビニなので常連さんが多く、お客様との距離も近い。ローソンストア100のお客様は気さくに話しかけてくださる方が多く、例えるなら近所の商店のようなポジションなんです。お客様との距離が近いからこそ、求められているものがわかるし提案もしやすいですね。
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ー今後はどのような展開を考えていますか?
個人的に頑張りたいと考えているのは、品揃えを充実させることです。献立を考える負担を減らし、調理も簡単に出来るようになるには毎日使っても飽きないバリエーションが必要になります。これまでも取り扱ってきた「玉ねぎみじん切り」や「揚げなす」のような下ごしらえ済みの冷凍野菜の充実や、冷凍食品として持ち帰りもでき、お店で温めてそのまま食べることもできる商品の開発も考えています。
「献立応援コンビニ」への進化の挑戦は、まだまだはじまったばかり。ローソンストア100らしくお客様に寄り添える商品開発にどんどんチャレンジしていきたいですね。
「自分が売る」から「売ってもらう」へ
ー商品をお客さまへ「直接」お届けする現場、そして「間接的」にお届けする商品開発の両方を経験されていますが、どのような違いや難しさを感じていますか
やはり1番の違いは、直接的なコミュニケーションの対象者がお客さまから、現場に立つ店舗オーナーさんやスタッフさんになったことですね。
これまでは「(お客さまに)どう売るのか」だったのに対し、今は「(店舗に)どう売ってもらうか」「どうしたら売りたいと思ってもらえるか」に変りました。現場にいた頃は、陳列を工夫したり、ポップを作ったり、お客さまとコミュニケーションをとったりと自分が頑張ればよかったのですが、今は相手に頑張ってもらわなければならないので、そこが難しいなと。商品開発に異動して最初の壁はここだったかもしれません。
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ーその壁に気がついたのには、なにかきっかけがあったのでしょうか。
ずばり数字です。自分が担当した商品の発注数の少なさを見て危機感を感じました。
もちろん良い商品を作っている自負はあるので、発注数が少ないというのは、現場に商品の魅力が伝わりきっていないんだなと。自分が店長をやっていたからわかるんですけど、やっぱり本当に美味しいのか、売れるのかがわからない商品は現場も仕入れにくいんですよね(笑)。そこから「商品の魅力を具体的に伝える」ことに時間をかけるようになりました。
ー具体的に、どのようなことをされたのでしょうか。
まず、通常だと新商品の発売が決まるのと同時に、SVさんやオーナーさんに「こういう商品ですよ、こんな魅力があるので売ってください」をまとめた資料をお渡しするのですが、SVさんやオーナーさんも忙しい中、膨大な数の新商品の資料を1枚ずつ読み込んでいる時間なんてないんですよね。それに、当たり前ですが紙の資料だけでは大きさも味も香りも伝わりきらない。その中から自分が担当した商品に目を止めてもらうなんて奇跡だなと思うようになりました。
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そこで新しく取り組んだのが、毎月の商品開発部と営業部の会議で繰り返しアピールをすることです。
地道でアナログな方法ですが、開発した本人が直接何度でも伝えるのが一番熱意が伝わるし、印象にも残りやすいと思ったんです。他にも実物大の写真を用意することで販売イメージを持ってもらったり、数字を用意して売れる根拠を説明したり、店舗用の販促物の展開例を出したり、自分でポップを作ってみたり.........。
自分が店長だったときの思考や行動を思いだし、現場が仕入れやすくなるためのお膳立てをする。熱意をしっかり行動に移し、現場に届けるようにしました。
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あとは、実際に食べてもらうことですね。実際に仕入れるオーナーさんにとって大切なのは、売れるかどうか。そのための判断材料である「どのように美味しいのか、どんな大きさなのか、自分の店の客層にはマッチするのか」を伝えるには、現物をみて、食べてもらうのが一番はやいんです。
食べてもらえさえすれば納得してもらえると自信もあるので、店舗を回り試食を用意し「美味しいから、売ってみよう」に繋げる。
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紙の資料だけで「いい商品だから売ってください」では響かないし伝わらないんですよね。時間も手間もかかりますが、SVさんやオーナーさんに納得してもらいお客さまに届けるには必要な努力だと思います。
ー良いものを作り、さらに社内営業まで徹底する。業務幅の広さに驚きました。実際にここまでやってみていかがでしたか。
たしかに、そうですよね(笑)。大手ではまた違うと思いますが、うちはまだまだ発展途中の規模の小さいコンビニなので業務幅が広いのかもしれません。でも、だからこそフットワーク軽く自由に挑戦できている実感もあります。
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やはりここまでやると、現場に想いが伝わるんですよ。発売告知や初日に広告、販促物を打っていただいたり、陳列やポップの展開をみても店舗として売り込んでくれていたり、数字にもしっかり出ていたり。時間とパワーをかけた分だけ、結果が出るというのは強く実感しました。
でも同時に、難しいなとも感じています。月に何種類も新商品が出ることを考えると、すべてに対してここまで時間やパワーをかけることはさすがに難しく......葛藤がありますね。
ここが次の課題だなと思っています。どれも思いを込めた商品ばかりなので、お客さまにしっかりお届けできるようにこれからも工夫していきたいなと思います。