ニュースリリース

公正取引委員会の実態調査に対する自己点検結果および改善計画について

2020年11月30日

株式会社ローソンは、公正取引委員会が取りまとめた「コンビニエンスストア本部と加盟店との取引等に関する実態調査報告書(令和2年9月)」及び「コンビニエンスストア本部と加盟店との取引等に関する実態調査(事業者別アンケート集計結果)」の内容を受け、自己点検を実施し、改善計画を立案いたしました。自己点検の結果、および改善計画は下記の通りです。



■自己点検

①募集時の説明、②仕入数量の強制等、③見切販売の制限、④営業時間、⑤ドミナント出店、の5項目を中心に自己点検を行い、全国のSV(加盟店指導員)やRFC(フランチャイズ契約営業担当者)を対象として調査を実施し、それぞれの課題を抽出いたしました。


①募集時の説明

オープンアカウントとこれに関する利息の計算、廃棄ロス・棚卸ロスの取り扱い、収益モデルに関する説明にあたって必要な知識やルールの周知徹底が十分でないことが課題。

また、「契約期間が長い」とのご意見があることを踏まえ、5年契約の運用を来春より開始予定。


②仕入数量の強制等

加盟店とSVとで店舗の経営に関する提案・検討・協議のためのそれぞれの時間確保が必要。


③見切販売の制限

見切り販売を行ったとしても、加盟店を不利に取り扱うことがないことを説明し、本部は加盟店に見切販売を推奨していることを十分にご理解頂くことが課題。


④営業時間

営業時間変更の要望があれば、加盟店の要望を傾聴し、十分な協議の上に営業時間変更を加盟店に決定いただく方針を打ち出していたものの、本部の交渉態度にはなお課題が残っていることから、SV等への教育が必要。


⑤ドミナント出店

本部が加盟店の営業努力を著しく損なわないように配慮して出店する旨の定めにつき、その具体策として複数店化の推奨について契約締結時に十分に説明することが必要。


■改善計画

(1)総論

公正取引委員会の調査報告及び上述の自己点検結果を踏まえ、如何にして従前の独禁法遵守体制を改善・強化・徹底するかを念頭に置き、改善計画を立案いたしました。フランチャイズビジネスにおける本部と加盟店のあるべき姿は、本部と加盟店が十分に協議し理解したうえでそれぞれの役割を全うし、もって共存共栄を図っていくことと考えています。そのためには、加盟店への正確な情報伝達と理解促進を図りつつ、適時に個々の加盟店の実態を十分に把握したうえで、発見された課題を改善していくことが重要です。よって、そのための仕組みと環境を構築し、本改善計画を実行していくことを経営上の重要事項として全役職員に浸透させ、定期的にモニタリングすることで実効性を担保してまいります。


●加盟店への正確な情報伝達と理解促進のための仕組みと環境づくり

・従前の独占禁止法遵守のための現場社員への教育・研修体系の見直しを図り、引き続き独占禁止法遵守の徹底を図ってまいります。

・開示書面を刷新する等、各種の説明ツール、マニュアル、加盟店(候補者)向け説明資料を見直し、わかりやすい説明資料となるように努めてまいります。

・現場社員への情報の伝達方法を見直し、現場社員による個店の情報把握・分析を踏まえて、加盟店への丁寧な説明(経営指導・協議)が行えるように、加盟店の利益の向上策(デジタル技術を用いた省人化・省力化、廃棄ロスの削減、セルフのコーヒーマシンの導入、省エネ機器の導入等)を講じることに加えて、キャンペーンや販売促進活動などの情報伝達の在り方の見直し等により、加盟店とSVとの協議・検討の時間創出を進めてまいります。

・加盟店の利益向上を重要な経営指標の一つとして取締役会で進捗を確認してまいります。

・説明の正確さや経営指導の質についての人事評価軸(加盟店利益に連動した人事評価)を設定することで経営指導の質の向上を図ります。


※今年度より新たに加盟店の利益向上を、全社の組織評価及び全従業員の人事評価における重要な指標として導入いたしました。これにより、加盟店経営のサポート体制を一層充実させ、加盟店満足の向上を図ってまいります。


●実態把握と改善機能の強化

以下の取り組みを行うことで、これまで以上に実態把握を正確且つ迅速に行い、改善が必要と確認された場合は、速やかにこれを実行するための機能を強化します。


<継続して実施していくもの>

・加盟店と本部とのコミュニケーションによる実態把握

社長直行便、社長による店舗巡回、ローソンオーナーほっとライン、オーナー福祉会、MO幹事会

・コンプライアンス意識の向上に向けた、現場社員を含む全従業員への経営トップやコンプライアンス担当役員からのメッセージ発信


<実態把握の方法を見直すもの>

・年1回のオーナーアンケート調査につき、独占禁止法上問題となりうる行為が行われていないかを確認するアンケート項目を追加予定。

・内部通報・相談制度(又はこれに代わる相談窓口)の周知とSV等による活用促進とそれによる実態把握


<改善機能の強化のために新たに開始するもの>

・加盟店との取引状況に関する監査部門による支店監査の定例化

・法務部門による加盟店向けヒアリングの定例化

・取締役会、経営会議等における改善計画策定後の進捗確認と見直し


(2)各論

①募集時の説明

フランチャイズ契約の締結においては、加盟店候補者へ十分な検討期間を設け、オープンアカウントとこれに関する利息の計算、廃棄ロス・棚卸ロス等比較的理解に時間がかかる項目についても分かり易い説明資料を用いるなど説明方法を工夫し、丁寧に説明してまいります。

また、営業実績のない新規物件よりも、営業実績のある既存店舗の方が加盟店候補者にとっては経費や売上等を自らが具体的にイメージしやすいことから、特に新規の加盟店候補者に対しては、原則として営業実績のある既存店舗を優先的に紹介させていただくようにしており、当該既存店舗の実績値及び人員状況等の情報を開示・説明し、加盟の検討をいただいています。

なお、加盟店候補者の強い要望により営業実績のない新規店舗を運営する場合には、開店後の店舗運営の仕方で売上に差が出ることから、売上予測値は今後も開示・説明しないこととしますが、当該店舗周辺の商圏情報等、加盟店候補者が自ら売上見込みを立てるにあたって参考となる情報をお伝えする形とする方向で検討してまいります。


②仕入数量の強制等

SVによる加盟店に対する経営指導にあたっての社内ルールを明確にして周知徹底を図ってまいります。

また、SVによる説明を効率化し、かつ、加盟店が理解、検討をいただきやすい環境を整備するために、例えば、商品開発の担当者、マーケティングの担当者が新商品やキャンペーンの内容をオンラインにて加盟店へ説明する運用を本年11月より順次開始しています。また、セルフレジの導入等デジタル技術の活用により、加盟店の省人化・省力化を進めています。こうしたものを拡大することで、加盟店と現場社員が個店の課題について十分に協議する時間を創出し、お客様のニーズにしっかりとこたえられるような適切な品揃えを加盟店と一緒に考えていけるよう努めてまいります。


③見切り販売

店内レジにて自由に加盟店判断で値引きが可能なシステムとなっています。弊社は売り切りによる廃棄ロス削減を推奨しており、見切り販売を理由とする加盟店への不利益な扱いは一切禁止しておりますので、引き続きこの方針を徹底し、加盟店が見切販売を制限されることのないように現場社員への教育・研修を拡充してまいります。また、新たな取り組みとして、店舗の状況に応じて来訪しそうなお客様へ限定の値引情報を、アプリを通じて発信し、来店を促進する取り組みを検討しています。

デジタル技術と値引販売とを組み合わせて、加盟店が負担する廃棄ロス削減に取り組んでまいります。


④営業時間

SVの教育・研修を強化し、要望があった場合の迅速な対応を徹底いたします。またその対応も真摯に行うよう、今後も経営トップやコンプライアンス担当役員からのメッセージ発信を行って現場社員の意識づけを行います。

その上で、加盟店に対し、営業時間の短縮に伴う売上高への影響などの判断材料を提示し、加盟店と十分に協議をし、加盟店の適切な判断に資するように引き続き努めてまいります。


⑤ドミナント出店

弊社では、ドミナント出店戦略を採用しておらず、加盟店に対してテリトリー権を設定しておりません。出店予定の店舗又は営業中の店舗の近隣に新たな店舗の出店を検討する際は、加盟店候補者又は当該営業中の加盟店へ事前に説明を行い、十分な理解を得た上で、出店の可否を決定させていただきます。

また、新たな店舗の経営者選定については、近隣の営業中の加盟店が優先的に経営いただけるようにまずは当該加盟店に複数店としての経営をご提案していく対応を進めてまいります。


以上